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高橋 克彦 『火怨~北の燿星アテルイ 』<上・下巻>

51xmvg5z9dl__sl500_aa300_先月末NHKで放映されたドラマの原作。

友人を京都案内しようといろいろ調べていた時に、清水寺にある「阿弖流爲・母礼の顕彰碑」のことを知り、なんだこれ?と思っていた矢先のドラマ放映で、大沢たかおさんが主演ということで是非とも観なければ!!と思っていたのに1週目を観逃し、なんとも悔しい気持ちで2週目を観て、これは原作を読まねば!!!と図書館にリクエスト。

高校で日本史を履修していないアタシは、阿弖流爲・母礼の名を知らず(中学の歴史の範囲では将軍の魁としての征夷大将軍 坂上田村麻呂の名しか知らず、しかも、将軍とは田村麻呂より前からあった官職であることも本書を読んで初めて知った)、チビに「阿弖流爲って知ってる?坂上田村麻呂が討伐したんやって」というと「あ~~~、資料集にあったわ~。なんか、ぐわぁ~ってすごい顔が載ってたで」と。
当時、写真技術があるわけもなく、本書を読めば、お上が蝦夷をどのように描きたかったかということがそこからも知れる。

浅学で、この歴史小説がどのくらい史実に基づいているのかよくは知らないけれど、戦前『万世一系の日本の祖』とされていた大和朝廷の中枢が、鉄鉱石と精錬技術を持つ出雲族を追いやり、富を得たことは、映画『陰陽師Ⅱ』の出雲族の王の話とも合致する。
その出雲族が北の辺境へ逃れ、蝦夷(えみし)と呼ばれ蔑まれていたことなど、日本史を深く学ばなかったアタシには未知のことだっただけに、ものすごい衝撃。

ドラマを先に観ているだけに、阿弖流爲には大沢たかおさんが、母礼には北村一輝さんが重なって仕方なかったけれど、ドラマは随分原作を脚色していた。
上巻は、蝦夷を人と見做さず、故に蝦夷の土地陸奥(みちのく)にある金鉱を強奪するため、また、遷都の為に人心を纏めるべく、都人の目を逸らし脅威を与え、朝廷の力を見せつけるため(まるで、内憂を抱えながら、国民の目を逸らすために外患を必要以上に大きくアピールするどこぞのお国々のよう)の標的として蝦夷たちが平穏に暮らす土地へ踏み込む朝廷に反旗を翻し、あくまでも抵抗を続ける蝦夷の快勝が綴られる。
勝ち戦には、力や数のみならず、理ある策がどんなに威力を持つかと、単純で物事良く考えずに行動してしまうアタシには唸らされることばかり・・・・。
しかし、阿弖流爲・母礼の最期を知っているだけに、下巻を読むのが辛くなる。517m71jj8el__sl500_aa300_


下巻では坂上田村麻呂が表舞台に登場し、役者が揃った。

征夷大将軍ながら坂上田村麻呂が東北の人々に慕われているとどこかで見知った気がするのだけれど、本書を読んで、むべなるかな・・・・と。

自らを世界(国)の中心とし、従わぬものを蛮族として蔑む、辺境の民族をバルバロイ(わけのわからぬ言葉を話すもの)と呼んだローマ帝国といい、自らを中華と呼んだ大国といい、アフリカ大陸の黒人を奴隷として売り買いしていた新大陸といい、人間とは如何に偏狭で傲慢なものかと思わせる史実の中、「都人と同じ人である、人の心を持っている」という蝦夷の叫びをそのままに受け入れた坂上田村麻呂や、「俺たちは獣に非ず、都人と変らぬ」との主張(っていうか、単なる”事実”なんだけど)を決して曲げず、それを最後まで都人に知らしめようとした阿弖流爲・母礼達は、千年も早くに生まれすぎたコスンポリタンだった、というべきだろう。

こんな骨のある日本人(蝦夷は紛れもない日本人だ!!)のことを何故知らなかったんだろう。
歴史は時の為政者に都合よく残される、というが、本当に、本書を知らずして人生半分も生きてきたのかと思うと、自分がいかに日本人であることにいい加減に生きてきたかと悔やまれる。

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