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金原 ひとみ 『マザーズ』

41jvxihl2ul__sl500_aa300_震災後、ニュース週刊誌で芥川賞だか直木賞だかの作家が、子どもへの影響を懸念して中国地方に疎開したという記事を目にし、「あ~、この人子ども産んだんだ~」と、いったいどんな子ども観、子育て観を持っていらっしゃるのか興味本位で図書館にリクエスト。 (ちなみにこの人の受賞作は読んでいない。ボディピアスとかドラッグとかアウトロー(いや、別に違法ではないから、アウトローじゃなく、どちらかといえばインモラル、というのか…)なことにはまったく興味もないし、それを自己表現として認知し評価することにも違和感があるので)
半年以上待ってやっと回ってきた。

タイトルの通り、三人の母親たちの育児(多くは苦悩と苛立ちと疲弊、そしてそれでいて絶対に切り離せない幸福感)と自分探し、アイデンティティの確立(母性への葛藤)のおはなし。
若い頃の山田詠美さんの作品をもっとグロテスクに下品にしたような文章。

物言わず、泣き喚くことだけで意思表示をする赤ん坊と向き合う日々は出口の見えない闇の中だ…と思っていた頃、アタシが肩の力をうまく抜けるように・・とツレアイが買ってきてくれたのは伊藤比呂美さんの育児エッセイだった。
当時珍しく協力的なご主人と、本能全開でゆる~い子育てをされているように見受けられた伊藤さんは(今は当時育てていらしたお嬢さんたちと米西海岸で、一緒に子育てをなさっていたご主人とは違う方と生活していらっしゃるようだけど…)その”緩さ”加減には安堵しても、とても環境的に真似できないところから、お手本にはなりえず、また、アタシを完全に救ってくれるには至らなかった。
だから、「母親だって、こどものことキライになったり鬱陶しいと思ったりすることあるんだよ~」っていうことを、アタシの後に子育てする方たちには共感してあげたい、と思っていた。
そんな”暗黒期”の心理状態を、それぞれに立ち位置や生活スタイルの違う3人の”マザーズ”を通して、うまく描き、この時期の子育て中で、自分の母性にコンプレックスを持ってしまいがちな少なからぬ”マザーズ”の救いになると思う。
3人の登場人物の苛立ちやジレンマ(特に涼子のそれ)は、二十年弱前のアタシとおんなじで共感するところ多いけど、でも、行動や思考の流れは全く違う。
だから、理解はしにくい(したいとも思わない)し、3人のマザーズをあまり(殊に女流作家のミカは絶対に)好きにはなれない。


「可愛いわねェ。お母さんが手を掛けてあげてずっと一緒にいられる時期なんてあっという間よ」と声を掛けられると、ものすごくムッとして「その”あっという間”がアタシには無限地獄なんですっ!!だったらこの子差し上げますから24時間ずっといっしょにどうぞ」と心の中で悪態をついていたのは、紛れもないアタシ自身だけれど、経験者の語るあの言葉は真実なのだ…と、多くの局面で娘たちとの時間を諦めざるを得なくなった今、やはり赤ん坊を抱いているマザーズたちには同じように「一緒の時間を慈しんで楽しんでね」と声をかけている。
そう、一緒の時間が苦痛になってはいけないのだ。
一緒にいることを楽しめる、そんな発想の転換や工夫が乳幼児育児には求められる。
その工夫や発想の転換がインモラルでない事例が世にもっと広がると良いな・・と思うけれど、それじゃお行儀の良い育児書やセレブママの自慢話になっちゃって受けないのかしら……。

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