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小川 糸 『つるかめ助産院』

つるかめ助産院

著者:小川 糸

つるかめ助産院

読んだきっかけ:後輩のレビューを拝読して

感想:こんな赤裸々であったかいマタニティ・グラフィティ、初めて読んだ。

小川糸さんの作品って、どの作品も”いのち”と”家族”と”食べ物”がもんのすごい太い軸になってる気がする。
家族という、どうしようもない(切っても切れない)目に見えないけれど確かな絆と、その始まりと終わり(つまりいのちの誕生と死)そして、いのちや家族を結ぶ、とっても大切な”食べる”、ということ
誰にも(ないと思っている人にも)必ず付帯していて、そして切っても(切ろうとしたり、切れたと思っていても)切れずついて回る当たり前のことを、変に感傷的にならず骨太に描いてるこの作品、これまで読んだ小川作品(『蝶々喃々』『食堂かたつむり』『ファミリーツリー』)の中で一番好きかも。。。。

うちは子どもが女の子ということもあってか、出産にまつわる話はTVドラマやニュース、そしてなんでもない会話にも頻繁に登場する。
アタシは自然分娩を望んだけれど、おネエの時に、おしるしの後の微弱陣痛から(しかし、インフォームドコンセントがうまくできてなくて、自分や赤ん坊が一体どういう状態だったのか、結局何もわからないまま・・・・)緊急帝王切開まで実に2昼夜分娩室の隣の陣痛室で、アタシよりあとに入院してきた妊婦さんが次々に出産を終えるのを見やりつつ過ごした。
こんなに辛いのに生まれないのなら家に帰りたい、このまま子宮口が開かなくて赤ちゃんが衰弱しちゃったらどうなるんだろう、とかいろんなことを考えたけれど、なんら処置もなく、さりとて出血しているから帰宅は許されず、挙句バタバタと酸素マスクをつけられ緊急帝王切開。
チビのときは、帝王切開をした人は子宮膜が弱くなっているので、無理に自然分娩すると子宮破裂を起こすから、ということで最初から帝王切開と決まっていた。
だから、”お産”のことを話すときも「おかーさんはちゃんと産道から生んでないから、自然分娩のことはよくわかんないんだよね」と話す。
チビは幼い頃から「アタシはお股から生まれてないから、綺麗」そして、今も「帝王切開で産みたい」と言うけれど、
アタシとしては、せっかくチャンスが与えられたにも関わらず、女性として、一番大切な経験が抜け落ちていることに、なんだか謂れのないコンプレックスをずっと拭えないでいた。
でも、この作品の中で語られる
”結果的にどんな方法になるにせよ、赤ちゃんが無事に来てくれるのがベストなお産”だという言葉に18年来の呪縛を解かれた。
自分でもわかっているのに、アタシが初めてのお産をした頃から流行り始めた”アクティヴバース”を選べなかった(ツレアイが前例の少ないことを嫌ったことと、何よりアタシ自身にツレアイを説得してでもアクティヴバースを選ぶ勇気がなかった)ことを、なんだか”負け”のように感じていた上に、誰でもがすごく苦しみながらもこなす”自然なお産”さえもできなかった、ということで、なんていうか、女性として決定的な”負け”のように引け目を感じていて・・・・・。
そんなこと、勝ちでも負けでもないんだけどね。

でも、いのちを自分の胎内で”育む”こと、そして無事に生れ落ちたいのちと真っ向から向き合って、社会人として”はぐくんでゆく”こと、それこそがとっても尊いことなのだ、そのためには、こころを空っぽにして、動物になることがとっても大切なんだ(母親までもが理詰めになっちゃいけないんだ)って、再認識してふわっとこころが軽くあたたかくなった。

おすすめポイント:自分のお産に引け目を感じている人(そうそういないか・・・笑)、これからお母さんになる人、いずれはお母さんになりたいと思っているすべての女性に、そっと手渡したい一冊です。

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