« 夢の世界 | トップページ | 如月の望月 »

幸せな学生時代

だったなぁ・・・・・・と、感慨に耽っています

今日、大学の恩師が、ご退官を記念して上梓されたご本(平野由紀子著 『青い宝石』青簡舎刊~簡は門構えの中が日ではなく月)が届いたのですDsc05950 

母校の大先輩であり、修士課程を修了されて十余年を経て着任されて以来、ずっと母校で教鞭を執られていた三十余年のあいだに、あれこれの機会にものされた文章をまとめられたもので、
Ⅰ.母校の「会報」に寄せられたものを中心に、恩師ご自身の”恩師”や亡きご友人たちをしのばれたもの
Ⅱ. 折に触れあちこちで書かれていた、女性と教育と仕事についての、先生のお考えを集大成したもの
Ⅲ. 先生のご専門分野の研究論文のうち”古文苦手”な者にもわかりやすく、選抜、註釈を添えられてあつめられたもの
Ⅳ.米ノースカロライナ大学でのスピーチ(未公刊・英文)
の四部に分かれている
そして表紙絵と、処々に散りばめられているぬくもりのある挿画は、恩師の研究室で学問を修めたアタシの同級生の手になるもの。。。。先生のご趣味と、お人柄とが滲み出て伝わるような、師弟愛溢れる良い絵です


大っぴらに「恩師」とお呼びしているのだけれど、アタシは本当に不出来な学生で
先生の研究室に所属していなかったばかりか、
先生のお授業は、”必修”のものは勿論受講したけれど、級友達が一人残らず履修した先生の選択の講義の時間は、アタシ一人、自分の興味のあった一般教養の『民俗音楽』だったか『女性史』だったか、学科を越えて自由に履修できた音楽学科の選択科目の授業だったかを登録していた
「変体仮名」の試験は卒試の時でさえおっかなびっくり汗だくモノ
とにかく、”お厳しい”と名高かった先生からは、お目に留まればお叱りを頂戴しそうで、学生時代は逃げ回っていた記憶がある

入学当初から、国文学や国語(日本語)に造詣や関心が深く、勉強熱心なクラスメイトが集う中、アタシは明らかに異端であり、間違いなく落ちこぼれだった
祖父を亡くした小学生の頃から心に決めた職業に就くべく、高校卒業するまで理系クラスに在籍していたアタシが
志望学部への進学の難しさ(大学を選べば何とかならないこともなかったのだろうし、実際高2の頃からはその路線で志望校選定も進めていたのだけれど、国家試験合格や卒業後の学閥のことを考えるとやはりアタシの当時の学力で合格可能圏の大学では心許なく・・・・どんなに望み頑張っても、なにせ、理系科目が壊滅状態ときていたから・・・・)と、何より目指していた職業への自分の適性のなさをやっと認識し、文系へ進路を変えようと決意したのが高3の夏休み
さて、ではどの大学の何学科を志望するか・・・という時に
当時師事していたピアノの先生からは高2のときに、音大に進むならそろそろ準備を始めましょう、と言われたのを既にお断りしていたし
・本を読むことが好き
ただそれだけの理由で、文学部を
そして、哲学科や心理学科にも心惹かれたものの、最終的には
・英語で論文を読んだり書いたりすることが、まず求められそうにない
というなんとも後ろ向きな理由、そして、どうせなら当時母校の同学部の中で一番入学偏差値が高いところを目指してやろう!といういかにも世俗的な虚栄心で選んだのが母校の卒業学科だったのだから・・・・・
アタシ自身は(都合の悪いことはすぐに忘れてしまうので)すっかり失念していたのだけれど、結婚式に出席くださった別の恩師から
「新入生の歓迎茶話会の時に”君は姫路出身なの?じゃぁ、お夏清十郎の舞台にも詳しいね”と言った時に、反応がはかばかしくなくて、”こりゃ、ダメだ”と思ったのが第一印象」とのお言葉をいただいたのも無理からぬこと
本を読むのが好き、と言っても、好みは現代小説に偏向していたし、
高校時代には日本史を選択せず、アタシの日本史や日本文学史の知識は中学校レベルで先進んでいなかったのだから。。。。
そんな自分の学問への積極性のなさと適性、能力の欠如が、学生時代のコンプレックスであったことは言うまでもなく、卒業後もずっと級友達と恩師の先生方への”引け目”であった

しかし、先生は、学生時代は落ちこぼれで学業に無欲なアタシに格別お厳しくもなかった分、分け隔てもなく、むしろ卒業後、文学研究とはかけ離れた職業(結局それは、子どもの頃から目指していた職業とも違っていたけれど・・・・)に就いたアタシをも、大きな翼の元で見守ってくださった

そんな先生のこのご本の一番最初の文章にどれだけ救われたか・・・・
「なにをかくそう、小学生の私の夢は天文学者になることだった」
「私はやはり天文学に進まない方がよかったようなのだ」
「地球の外へロケットで出てゆけても、二度と再び戻って来られないにちがいない」
先生は頭打ちされることもなく、優秀でいらして、研究の道一筋に邁進され、その中で優秀な後継者を数多く育ててこられた方だから、アタシなどその翼の下に入れていただくのもお恥ずかしい・・・・とずっと思っていたのだけれど
あぁ、先生は”夢が叶う””夢をかなえる”コトばかりではないひとりひとりの人生を、どれも大切なもの、と認め慈しんでくださっていたのだな・・・そしてそれは、ご自身の経験に裏打ちされた、揺るぎないものだったのだな・・・と

普通なら封印したいはずの”落ちこぼれ”としての学生時代が
今も懐かしく、そして忘れえぬものとして温かく胸にあるのは
分け隔てなく
「女であるけれど男と同様、仕事をもって一生、社会と関わり続けたいと考え」
「人を愛し、子供を育て、日々を暮らすという、太古からの営みは、男も女も共に関わるべきではないかと考え」る教え子たちを同じ女性としての目線から深く理解し、応援してくださる恩師や
ひとりひとりの違いを認めたうえで、尊重できる、聡明な故に余裕のある(自分に余裕がない人間ほど、人の足を引っ張りたがり、口を開けば愚痴になるのは永年の人付き合いの中で見えてきた。。。)友人たちに恵まれていたから
そして、「恋の帰結と、ぬきさしならぬ人間関係が自分の周囲に出来上がっていたことへの自覚―これが、一人前としての日常、即ち生活人としての出発である」という先生のお考えが、
知らず知らずのうちに、齢を重ねるアタシに清々しい覚悟と気負いのない生活者としてのスタートを無理なく切らせてくれたのだと思う

先生がご退職なさった今、母校の雰囲気がどのように変わっているのか、私にはわからない
だけど、あの頃のアタシと同じ年齢に長じ、真剣に進路を考え始めた娘達にも、今のアタシのように
振り返って「学生時代は幸せだった」と思える学生時代を過ごして欲しい、と思うし、そう思える環境を自分の手で手に入れて欲しい!と切に思います

« 夢の世界 | トップページ | 如月の望月 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

観た・聴いた・読んだ(映画・DVD・CD・読書レビュー)」カテゴリの記事

コメント

>長谷川さん
こんな拙いブログを探し当ててくださり、コメントまで頂き、恐縮すると共に、懐かしく嬉しい気持ちになりました。
そう、私も、柄にもなく同窓会の幹事などにしゃしゃり出て先生とご連絡を取ることが多い中で、学生時代には幼すぎて気付けなかった先生の大らかで深い温かさを浴することができました。

ご同窓の方々の中には、学生時代から、先生の偉大さに気付いて入らした方も多いと思いますが、アタシのように”先生は畏れ多くて、ちょっと近寄り難い”と苦手意識を持っていらっしゃるお友達がいらしたら、是非勧めて差し上げてください。。。。
そして、長谷川さんが愛情を掛けられている、これからを生きる若い女性たちにも、是非・・・・・

こんにちは。はじめまして。
お茶大国文学科卒業生(H6卒)の者です。

平野先生より学年の同窓会の件でメールを頂戴し、『青い宝石』のお話になりました。
ありがたいことに、(同窓会の幹事をつとめた私には)お送りくださるとのことで、
どんなご本なんだろう…?(先生に「買います!」という前に調べない不調法者)と思い、
ネットでこちらのHPにたどりつきました。

先生は、本当に、国文学研究の枠を超えて、
学生を指導して…指導という言葉ではおさまりきらず、
見守ってくださって、本当にいま助けが必要というときに、
手を差し伸べてくださる方なんだなあ、としみじみ思います。
平野先生にお会いできて本当によかったです…。

誰にでも…というわけにはいきませんが、この人なら、という方にはお勧めしようか…
と考えております(まだ読んでいないのに←不調法者)。

みるさん>
そうそう。
まさにそう、なんですよ!!!

学業とかその人の為した業績とか
そんなものは(勿論”ツマンナイこと”ではないけれど)人間の営みのごく”一部”であって
そんな側面の一つ一つで一喜一憂するのでなく
いろんな局面を持った教え子たちの”真摯に生きる姿”をまんま観てくださる
それは、きっと、先生ご自身がそういった温かくも厳しい(だって、トータルで観られることほどすべてが見通されるものはないですもの・・・)人達に囲まれていらしたこと、そして、何よりご自身がそういう視点でご自身の生き様を客観的にみていらしたから・・・なのだろうな、と改めて思います
先生のように、一日一日を大切に生き、美しく齢を重ねていきたいな・・・と思いますね♪

こんにちは!
わ、わ、こうして写真がブログにアップされているとなんだか恥ずかしいなー(汗)
もちろん私の本じゃないのですけれど(笑)。

華音さんは全然落ちこぼれなんかじゃないですよー。
万一学生時代は落ちこぼれだったとしても、今現在の「落ちこぼれ」である私からしたら、ちゃんと社会に貢献する仕事をたくさんしていらっしゃるのだもの。
うらやましいです。

でも先生は、勉学がどうのとか、お茶大生かどうかとか、そういうところを越えた、もっと大きな視点で物事を見ていらっしゃる方なのですよね。
なので私のような異端者も大事にしてくださる。
「青い宝石」を読むと、先生の見ていらっしゃるものの大きさに心を打たれます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 夢の世界 | トップページ | 如月の望月 »

2016年9月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
フォト
無料ブログはココログ

ブログパーツ

  • 簡単1分ヨガ!!
  • Twitter
  • 大好き♡久文先生
    ヨガインストラクター 久文 明子 SIZE=130px×220px
  • 布絵本
  • グリーンリボン お天気