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奥田 英朗 『ガール』

ガール

著者:奥田 英朗  

ガール

感想: 作者、アタシより年上の、しかも男性
だから、この短編集では課長クラス(?)のオジサンなんだけれど
どんな取材したんだろう???
アタシは企業での就業経験がないから、いわゆる”OLの世界”ってわからないんだけれど、多分みんな、こんなこと思って、こんな日々を過ごしているんだろうなぁ・・・・とものすごぉ〜〜く得心させられる

5篇の掌編集はそれぞれ女性が主人公で、主人公の肖像は・・・
「ヒロくん」
 同い年の夫ヒロくんよりも大企業に勤め、夫より高給取りで、しかも”管理職”になった三十五歳

「マンション」
 同い年の親友がマンションを買ったことを聞き、”欲しいのに買いたくない”気持ちの中で揺れ動く三十四歳

「ガール」
 六歳年上でありながら、独身ガーリー路線を邁進する先輩OLとそろそろ落ち着かなくちゃと及び腰になっている同期の友人との間で、自分の立ち位置に迷う三十二歳

「ワーキングマザー」
 三十二で離婚し、子どもをヘルパーさんに預けて営業部に復帰した三十六歳のシングルマザー

「ひと回り」
 イケメン新人の指導社員を命ぜられ、彼への気持ちに振り回される三十四歳

アタシ自身は三十半ばと言えば子育て真っ盛りで、この短編集のどの主人公ともリンクはしないけれど
この作家の描く人間は(周囲の人も含めて)どこか明るく逞しく必ず希望があるから、気持ち良く”擬似体験”させてもらえた


自分が十代だったころは、三十二歳なんて完全なおばさんだった。実際、もう少しちゃんとフケていた。ごく自然に人生の階段を昇っていた。    (『ガール』より)

っていうのに、もんのすごく共感!
うちの母は、ほんとに当たり前に”母さん”だったもの
浮っついてなくて、弁えがあって・・・・
今でもお洒落な母ダケド、母であるときは、きちんと母だった


社会が豊かになって、青春期が長くなったのだ。
だいいち婚期や出産年齢が昔に戻ったら、東京のレストランの半分は閉店に追い込まれる。(アハハ!!!その通り!!)
アパレルと旅行業界は大打撃を受け、日本経済全体が落ち込むだろう。
ふんだ。こっちは少しも悪くない。自分たちを生んだのは国だ。
               (『ガール』より)

ほぉ〜〜〜んとに、その通り!!
アタシは、結婚してから青春期を長く過ごしたいとは微塵も思わなかったし、今それを取り戻したい・・とも思わない(人並みの青春時代を目いっぱい色濃く過ごしたので、結婚する時に”やり残した”とも”やり直したい”ともこれっぽっちも思わなかった)けれど
これだけ”青春”を謳う情報や商品、サービスに取り囲まれていれば、それに取り込まれるのは人の情
煽ってるよな〜〜〜、巻き込まれるよな〜〜
そりゃぁ、”個人”の責任じゃないわ。。。。。


生涯一ガール。きっと自分もその道を行くのだろうと、由紀子は思った。この先結婚しても、子どもができても。そんなの、人の勝手だ。誰にも迷惑はかけていない。   (『ガール』より)

そうそう、その意気!
そういう生涯一ガールオバサン、最近増えてますょ〜、元気です!!
人から嗤われるとか、人がどんな噂してるとか
そんなの気になる人は、さっさと”生涯一ガール路線”を降りればいいだけのこと
覚悟持ってわが道を行く人はカッコいいもの!


「子育てしてるとね、ときどき、こっちは大役を果たしてるんだっていう傲慢な気持ちになるの。ベビーカーを押してそのへんを歩いている主婦がそうでしょ。守られて当然って顔してるのが大勢いる」(中略)「わたし、そういうの嫌いだから自分ではするまいと思ってた(後略)」    (『ワーキングマザー』より)

これも、すごくよくわかる!
子育てはものすごい大役、だなんていうのはカン違い甚だしいだろうし(モチロン、子育てが”些少な仕事”だとは思わないけれど)
だからって、社会やお国に守られて当然っていうのは厚かましいとも思う(だから、アタシは子ども手当てにも諸手挙げて賛成ではない。勿論、いただけるのは大いにありがたいけれど・・・・それって、”社会”の中でどうなの???財源はどうなってるの?本当に公平な税配分なの??って・・・・)
でも、一方で、アタシは守られていないのよ、こんなに可哀想なのよ・・・と殊更に披瀝するのもどうかな?とも思う
結婚することもしないことも、離婚することも、子どもを持つことも(持てないこと、はまた違った苦悩があるけれど)持たないことも
生まれたときから親に決められ・・・・って言う、よほどのお姫(ひぃ)さまでもなければ、今の時代、すべて自分が”選んで”辿ってきた道なのだから
そこに大仰な錦の御旗はいらない


人はそれぞれだ。しあわせかどうかなんて、物差しを当てること自体が不遜だ。   (『ワーキング・マザー』より)

そうなのだ!
どんな生き方であっても”自分が選んだ”ということに、もっと誇りを持って良いんだと思う
三十代でも四十代でも・・・・
”常識”は必要だけど
人様の”お赦し”とか”烙印”とかに振り回されることなく
”〜らしさ”に当て嵌めるのは”自分らしさ”
それだけで良い・・・・
そう思わせてくれる清々しい1冊
サクサク読み飛ばせました!

おすすめポイント: 迷えるアサラー、アラフォーの皆さんには
力強い指南書になるでしょうww
その時期を過ぎてきた者には、自分の越し方を懐かしく穏やかに振り返るよすがになる・・・かも

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