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三浦 友和 『被写体』

被写体

著者:三浦 友和

被写体

買ったきっかけ:
最近いろんなドラマや映画で、地味だけれど味のある役を演じている俳優さんが出されている本がある・・・と新聞か雑誌の読書欄で知ったので

感想:
人気絶頂期に結婚(=退職)し、一主婦になることを選び、一主婦であり続けることを死守しようとした元アイドルの妻と家族をマスコミの攻勢から守り抜こうとした俳優である夫の手記

アタシは、いわゆる”タレント本”って言うのは読もうとは思わないほうなのだけれど(とはいえ、友和さんの奥様の『蒼い時』も、そう言えば当時そのアイドルとその生き方に心酔してた友達に勧められ、本を押し付けられる形で読んだのだけれど、予想外に感動したっけ・・・・)結婚→百友コンビ解消後、かなり長い間”鳴かず飛ばず”になって沈黙を守ってこられた(かに記憶している)彼が手記を出していることをごく最近になって知り、図書館にリクエストしたらば、もうほとんど利用のない本、として閉架書庫保存されていました(流行本の生命というか、消費者の興味関心って、本当に移り気なものね・・・・)


元アイドルだった奥様とコンビを組んで人気ドラマを続発されていた頃から”アイドル”とは一線を画した”媚びない”印象の俳優さんだったけれど
この本には、いわゆる”タレント本”とは一線を画した生真面目さ、誠意、のようなものが感じられる
ご自身の弱さ、醜さ、至らなさをも(まぁ、年月が経って初めてそういう境地に至ることができた・・・というのも大きいのでしょうけれど)誠実に表現されているところに好感が持てる


結局、私もひとつ穴のむじなだった。集団を見て個人を見ない。自分がその立場であったら、と深く考えてみようとしない。偏見を持って自分を見てほしくないのなら、自分の中にある偏見をまず見つめ直す必要があったのだ。

トラブルのあった写真誌カメラマンが名刺を差し出して詫びてくれたときの素直な反省の言葉なのだと思う
その章は

この、男性が去った後突然のことに動揺し、言葉の見つからなかった自分を恥ずかしく思った。この場を借りて暴力を振ってしまったことをお詫びしたい。
難しいことではあるが、もし機会があるなら、この男性と会って、もう一度話をしたいと思っている。

という文章で締めくくられている

ネット上に無数に存在するブログや掲示板で、どのくらいの人が、自分の表現の影響に想いを至らせ、また、書き終わりUPした後々までもそこに”見つめ直す”という意識を持っているのだろうか
個人のブログや仲間内の掲示板では、思ったことを自由に表現すればよい、受け取る側も、単なる個人の”記録”ごときをそう重く受け止めることなく、ただ一時消耗してしまえば良いのだ
そういう考えも存在するとは思う
だけど、時に、様々なコメントや他者の反応の中から、自省、内省する、”立ち止まり”の姿勢を持つことが、ますます過密になっていくネット社会では必要になってくるのではないか。。。


被害者は、加害者を憎むことはあるだろう。しかし、縁もゆかりもない他人さまに憎んでもらう必要などまったくない。犯罪そのものを憎んだり、おぞましいと思ったりするのは良い。だが、個人にそれを向けるのは違う。あたりまえのことだが、マスコミが個人を裁いてはいけない。裁かないまでも、視聴者や読者をそのような感情にもっていくようなコメントや記事は、断じて出すべきではない。


まったくもって、その通り!!
”表現の自由””このような事件がみなさまにも起こりうるので教訓としてもらう為”などという自由、権利の履き違いや大義名分で、いかなる個人をも傷つけることは赦されない
この意識が、たとえはしくれにでもマスコミという世界に属している人間に浸透していれば、
そして、”自分にとって不必要な情報はいらない”と撥ね付ける聡明さが、大多数の視聴者に備わっていれば、
捜査資料の執拗な聞き出しや漏洩、個人のプライバシーの流出、などという馬鹿げた事象は未然に防ぐことができるのではないか

おすすめポイント:
単なる”タレント本”としてではなく、ひとつの確立した「情報論」「プライバシー遵守論」として、多くの取材者やアタシも含め、野次馬根性が染み付いた一般市民が手に取るとよいと思う

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